登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ導入3号 | 1978. 6 |
種苗法 | - | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道(輸)第14号 | 1978.4.19 (1987.3.12廃止) |
|
原品種名 | Tunika | (旧東ドイツ) | 1967 |
地方番号 | - | ||
系統名 | - | ||
系統番号 | - | ||
組合せ | Lü56・186/21N×Lü56・183/2 (Gross-Lüsewitz) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 | 塊茎 (田中 智) |
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 |
原品種名を「Tunika」といい、ドイツ民主共和国のGross-Lüsewitz植物育種研究所において、「Lü56・186/21N」を母、「Lü56・183/2」を父として交配して1967年に育成された、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種です。わが国には昭和46年(1971)に北海道農試に導入されました。
昭和47年(1972)に北海道後志支庁管内でジャガイモシストセンチュウ被害が発生したのに伴い、昭和49年(1974)以降ジャガイモシストセンチュウ抵抗性について検討するとともに、昭和50年(1975)以降生産力検定試験、奨励品種決定調査等に供試した結果、昭和53年(1978)に「ばれいしょ導入3号」として登録され、北海道の奨励品種に採用されました。
シストセンチュウ被害に対する応急措置的品種であり、収量も低かったため作付は伸びず、作付面積は昭和56年(1981)に71haを記録したのを最高に以降は減少しました。昭和61年(1986)年にジャガイモシストセンチュウ抵抗性の澱粉原料用品種「トヨアカリ」が育成されたので、昭和62年(1987)に優良品種から廃止されました。
なお、本品種を交配親に用いて「トヨアカリ」、「キタアカリ」、「エゾアカリ」、「ムサマル」が育成され、さらに「トヨアカリ」からは「サクラフブキ」が育成されるなど、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性育種のための重要な母本となりました。
(系譜図)
茎長は「農林1号」、「紅丸」より長い。分枝は中、そう性はやや開張です。茎数は中で、茎の太さは中ないしやや細く緑色です。萌芽時の葉色は濃緑で生育が進むと緑色になります。小葉の大きさは中で、生育後半に黄色味を帯びて巻き上がることもあり、ウイルス病のモザイク症状との判別が難しい。花色は白で、花数、花粉量とも多く、自然結果は極めて多い。
いもの着生はやや密でストロンの長さは中、ストロン離れはやや悪い。いもは球~扁球形、皮色は黄褐色でネットが多い。肉色は黄、目はやや深いですが尻は浅い。一個重はやや小さいですが、粒ぞろいは良い。
萌芽及び初期生育は整一で「農林1号」並です。黄変期は「農林1号」、「紅丸」並で中晩生に属します。
澱粉価は19~20%で「農林1号」より1~2ポイント高い。いも収量は「農林1号」の95%程度ですが、澱粉価が高いので、澱粉収量は「農林1号」並で「紅丸」よりやや少ない。休眠はやや長いですが「エニワ」より短い。
近縁種S.tuberosum ssp.andigenaに由来する抵抗性遺伝子H1を持ち、ジャガイモシストセンチュウのRo1に抵抗性です。本品種にも「紅丸」と同程度にジャガイモシストセンチュウの幼虫の侵入がみられ、3~4齢まで発育しますが、シストの形成数が極めて少ないので、本品種栽培後の土壌中の線虫密度は植付前の20~30%以下に低下します。線虫密度の高い圃場では本品種も線虫の寄生によって減収しますが、「紅丸」に比較すると上いも収量、澱粉収量とも多収となります。
疫病抵抗性主働遺伝子を持っておらず、疫病の初発生、発病後の経過ともに「農林1号」に類似します。疫病菌による塊茎腐敗に対しては「農林1号」とほぼ同程度の抵抗性を持っています。中心空洞はみられませんが褐色心腐は年によってまれに発生することがあります。Yモザイクには、PVY-O、PVY-Tの両方に抵抗性です。PVY-Oによる第1次病徴は「農林1号」に似たストリーク症状を葉に生じますが「農林1号」より病斑は小さく、次代においてウイルスが検出されません。
澱粉粒子は大粒のものが多く、澱粉の最高粘度が高い。
食味は良い。ビタミンC含量が多く、後代からは多くの高ビタミン含量品種・系統が育成されました(例:キタアカリ)。
適応地域は、道央のジャガイモシストセンチュウ発生地帯とされていました。
・施肥量及び栽植密度は「紅丸」に準ずる。多肥密植すると倒伏しやすく、いもが小粒化し、減収の恐れがあるので注意する。
・線虫発生圃場で生産されたいもは、線虫伝播の恐れがあるので、澱粉原料以外に使用しない。
・線虫密度の高い圃場では、抵抗性品種でも減収するので、輪作、殺線虫剤施用等の防除手段を講じる。
・抵抗性品種を連続して栽培すると、抵抗性を破る線虫系統の出現を促す恐れがあるので、線虫密度の低くなった圃場では、輪作体系の中で抵抗性品種と感受性品種を適宜交替させて栽培する。
・種いもは無線虫圃場で生産されたものを用いること。
・抵抗性品種と感受性品種との同一圃場への同時作付は避ける。