登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林30号 | 1987. 6 |
種苗法 | 第1813号 | 1988.12.13登録 2003.12.14満了 |
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北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第20号 | 1987. 3.12 (廃止) |
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地方番号 | 北海66号 | ||
系統名 | 島系529号 | ||
系統番号 | 75015-3 | ||
組合せ | Tunika×Priekulsky Ranny (1975 北海道農業試験場交配) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 (北見農試) | 塊茎 (根釧農試) |
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用途 | 食用 |
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長所 |
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短所 |
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昭和50年(1975)に北海道農試において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の食用品種育成を目標に、旧東ドイツのジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種「ツニカ(Tunika)」を母、旧ソ連の極早生品種「プリエクルスキー・ランニー(Priekulsky Ranny)」を父として交配し、選抜を重ねてきたものです。昭和62(1987)年に「ばれいしょ農林30号」として登録、「エゾアカリ」と命名されました。品種名は、育成地北海道の古称「蝦夷」を線虫被害から守る希望を示す曙光「アカリ」を意味する。
十勝地方(大樹町など)で栽培されており、「コスモ男爵」の名でも売られていましたが、同年に育成された「キタアカリ」に比べ調理品質が劣ることなどから作付は伸び悩み、作付はほとんどなくなり、平成17年(2005)に優良品種から廃止されました。
(系譜図)
幼芽にはわずかに赤紫色の着色がありますが、萌芽時の葉色は淡緑です。茎長は「男爵薯」と「農林1号」の中間で、「キタアカリ」よりやや長いやや短です。茎数はやや多く、太さはやや細い。茎色は緑で2次色は無い。茎翼は直。分枝数は少なく、そう性はやや開張型です。葉色は「男爵薯」よりやや淡い緑色で、小葉は幅広で大きく「男爵薯」に類似します。小葉着生の粗密は中です。花色は白で、大きさは中。花数は極めて少なく、少肥あるいは乾燥条件にあうと開花しないことが多い。花粉量は多く、まれに自然結果します。
ふく枝は短く、いもの着生は密で、着生位置は浅い。いもの形は球形で、皮色は白黄色、表皮はやや粗い。目の数、目の深浅とも中です。肉色は淡黄です。
塊茎の休眠期間は「男爵薯」より短く「農林1号」より長い中に属します。萌芽、初期生育とも「男爵薯」より早く「ワセシロ」に近い。いもの早期肥大性は「男爵薯」並のやや速に属します。枯凋期は「男爵薯」より3〜5日遅い早生です。
上いも数は「男爵薯」より多い個数型品種です。上いも平均一個重、大きさ別重量割合とも「男爵薯」と同程度で、中以上いも収量は「男爵薯」より2〜3割多収を示します。澱粉価は肥大初期には「男爵薯」より低いが、茎葉黄変期にはほぼ同じになります。施肥量に対する収量反応は「男爵薯」に似ており、多肥で澱粉価が低下します。密植効果は小さく、上いも平均一個重は小さくなる傾向にあります。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を保有し、パソタイプRo1に抵抗性です。疫病抵抗性遺伝子型は持たず、抵抗性は弱い。疫病菌による塊茎腐敗に対する抵抗性は中。粉状そうか病抵抗性はやや強。青枯病には弱い。塊茎の軟腐病には「男爵薯」よりやや弱く、茎葉の軟腐病は「男爵薯」並の発生がみられます。葉巻病などのウイルス病の発生は一般品種並です。葉巻病の葉巻症状は強く現れます。Yモザイク病は、PVY-Oには当代においてえそ症状を現しますが、次代には感染しがたく抵抗性で、PVY-Tに対しても抵抗性です。中心空洞、褐色心腐は発生しません。
水煮塊茎の肉質は粘質。煮くずれ程度は微なので、カレー、シチュー、おでんなどの煮物用に向いています。舌ざわりはやや滑らか。調理後黒変は「男爵薯」よりやや多い。食味は中です。
道内食用ばれいしょ栽培地帯向けであるが、特にジャガイモシストセンチュウ発生地帯に普及を優先する。
・施肥量、栽植密度等の栽培管理は「男爵薯」に準ずるが、密植は中以下のいも収量割合が増加し、必ずしも収益の増加につながらないので、10a当り3,500〜4,000株にする。
・茎がやや細く、倒伏しやすいので、茎葉の軟腐病発生地帯では防除対策が必要です。
・萌芽が「男爵薯」より早いので、種いもは施設貯蔵が望ましく、土中貯蔵では種いもの取り出しを遅らせないよう注意する。
・疫病には「男爵薯」並に弱いので、防除に留意する。
西部幸男、坂口進、入倉幸雄、梅村芳樹、奥山善直、佐藤正人、森元幸、内澤啓、気賀沢和男、稲垣春郎
西部幸男.“食用ばれいしょ新品種「キタアカリ」「エゾアカリ」”.農業技術.42(10):460-461 (1987)