登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林13号 | 1961 |
種苗法 | − | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第6号 | 1971.6.17登録 1996廃止 |
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地方番号 | 北海30号 | ||
系統名 | 島系436号 | ||
系統番号 | 53012-9 | ||
組合せ | Kennebec×農林2号 (1953 北海道農業試験場) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 | 塊茎 (田中智) |
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昭和28年(1953)に北海道農試島松試験地において、「ケネベック(Kennebec)」を母、「農林2号」を父として人工交配し、翌年に実生を養成して以降選抜を重ねたものです。昭和33年(1958)に「島系436号」、その翌年に「北海30号」の地方番号を付与し、関係機関に配布して生産力及び地方適否を試験した結果、昭和36年(1961)に「ばれいしょ農林13号」として登録され、「ユキジロ」と命名されました。品種名は肉色が白いことに由来しています。
フレンチフライ加工用に適した品種で、昭和60年(1985)には北海道で2,309haまで栽培が広がりましたが、増殖過程で生産力の低い系統に変わり収量が低下したと言われ、作付面積は減少していきました。フレンチフライ用の主力品種は「ホッカイコガネ」に替わり、平成8年(1996)に奨励品種から廃止されました。
(系譜図)
そう性は開張型で、茎は「農林1号」よりやや長く、よく繁茂します。茎はやや太く、茎数はやや少ないが分枝数はやや多い。茎は緑色に淡赤紫の2次色が斑紋状に分布しており、茎翼は波状です。葉色は濃緑で、小葉はやや幅広く、大きさは中ないしやや大きく、やや疎に着きます。花は淡紫色で、花弁の先は白い。花は小さく、つぼみのうちに落下するものが多く、数は極めて少ない。
ふく枝の長さは中で、いも着きはやや疎です。いもの形は扁卵〜楕円体で、皮色は白黄です。目はやや浅く、目数は少ない。肉色は非常に白い。
休眠は長い。初期生育及び早期肥大性はやや遅い。生育後期には草勢が「農林1号」よりやや強くなり、倒伏することもあります。枯凋期は、ほぼ「農林1号」並の中晩生に属します。
いもは小粒が少なく、中・大粒が多いため、上いも平均一個重が大きく、粒ぞろいも良好です。上いも収量はやや多く、中以上いも収量は多い。澱粉価は「農林1号」並ないしやや低い中で、裂開した塊茎の澱粉価は非常に低くなります。
疫病の初発生は「農林1号」より遅いが、疫病による塊茎腐敗には弱い。PVY-Oによる病徴はえそ型で、PVY-Tによる病徴はれん葉と脈えそを現します。PVAには抵抗性です。PVX-o及びPVX-bの両方に感受性です。PVSのモザイク系統には病徴を現します。葉巻病の当代病徴による頂部の立型が著しく、中〜下葉の裏面は紫色に着色します。黄斑モザイク病にはG系統、F系統の両系統に対して黄斑、縮葉ときにえそを伴い著しく萎縮します。軟腐病に比較的強く、そうか病には「トヨシロ」よりやや強めの中ないしやや強です。黒あざ病、青枯病、軟腐病及び粉状そうか病の発生は一般品種並です。ジャガイモシストセンチュウには感受性です。二次生長は少ないですが、頂部などに裂開(亀裂)が発生することがあります。褐色心腐は極めて少ない。表皮の緑化がやや多い傾向にあります。
肉質はやや粉質で、煮くずれは微。剥皮褐変は少なく、調理後黒変も少ない。いもが大きく、還元糖含有率が低いため、フレンチフライに適しています。マッシュポテトにも使用できます。
二期作には向かないが、北海道一円及び関東以北の各地で栽培可能で、都市近郊などの食用いも生産地帯における栽培に適しているとされていました。
・排水の良い肥沃なところに好適し、排水不良地や低湿地には適さない。
・窒素質肥料の過用を避け、栽植密度は「農林1号」程度とする。
・萌芽が遅いので、浴光催芽や早期培土を行うのがよい。培土は、なるべく早めに行い、ふく枝が長いので、土は十分にかけるようにする。
・いもの肥大は早い方なので、早掘りもある程度可能である。腐敗いもは、あらかじめ貯蔵前に除去する。
・総いも収量は株当り茎数6〜7本で多くなるが、規格内収量は株当り茎数1〜3本で多い。このため、2Lを切った1目植えや、頂芽部を10gほど切除した頂芽除去の半切りいもを植えることがある。
・中心空洞や冠部の裂開の発生を少なくするには、黒あざ病の防除をし、地域に見合った施肥量、うね幅、株間を検討する。
・施肥量は、前作物・地力・堆肥量を考慮し、地表から第1花房までの茎長が40〜45p、草丈70〜80p、葉面積指数3.0前後、第3花房が咲かない範囲にとどめる。
・地温が10℃以下で収穫されたり仮貯蔵されると、還元糖が増えるばかりでなく、収穫時の打撲傷、皮下黒斑を増すので、肥大・収穫を遅れさせるような窒素の多用を避ける。土壌水分が多い場合も、肥料が後効きの傾向にある。
永田利男、岡啓、那須千一郎、山上尚