登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林59号 | 2006.10. 4 |
種苗法 | 第17446号 | 2009. 2.24 | |
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第45号 | 2006. 2.13 | |
地方番号 | 北育 8号 | (2002) | |
系統名 | 北系 9号 | (2001) | |
系統番号 | K95093-6 | (1998より北見農試で選抜) | |
組合せ | I-853×花標津 (1995 根釧農試交配) | 系譜図 |
花 (北見農試 2007) | 草姿 (北見農試 2007) | 塊茎 (北見農試 2005産) |
殺菌剤無散布における疫病の比較 左:さやあかね 右:さやか(2005. 8.31北見農試) |
塊茎 (北見農試 2007産) | |
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用途 | 生食用 |
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長所 |
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短所 |
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ばれいしょ「さやあかね」は、疫病圃場抵抗性およびジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ生食用品種の育成を目標として、国際バレイショセンター(Centro
Internacional de la Papa)から導入されたインド原産の疫病抵抗性系統「I-853」を母、平成9年に北海道立根釧農業試験場で育成された、疫病圃場抵抗性とジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1
を持つ生食用品種「花標津」を父として、平成7年に北海道立根釧農業試験場にて人工交配を行い、翌年実生個体選抜試験に供試した中から選抜・育成された品種です。
平成10年の馬鈴しょ科移転に伴い、以降は北海道立北見農業試験場にて選抜を行いました。第2次個体選抜試験後に「K95093-6」の系統名を与え、系統選抜試験、生産力検定予備試験、生産力検定試験と選抜を進め、平成13年からは「北系9号」の系統名で生産力検定試験、道内関係機関の系統適応性検定試験、地域適応性検定試験並びに特性検定試験に供試しました。その結果、疫病抵抗性が“強”
でジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、多収で枯凋期が「花標津」より早いことから、平成14 年に「北育8号」の地方番号を付して奨励品種決定調査等(農試)に供試し、平成15年から奨励品種決定調査(現地)に供試して実用性を検討してきました。
平成18年に北海道の優良品種に認定され、農林水産省によって「さやあかね」(農林59号)と命名登録されました。
そう性は「花標津」の“やや開張型” に対して「男爵薯」と同様“中間型” です。茎の長さは「男爵薯」の“短” に対して「花標津」と同様の“やや長”、茎の太さは「男爵薯」および「花標津」並の“中”、茎の色は1次色、2
次色、2 次色の分布とも「男爵薯」「花標津」と同様の“緑”、“赤紫”、“斑紋” です。分枝数は「男爵薯」より多く「花標津」並の“中” です。葉色は「男爵薯」の“濃緑”「花標津」の“淡緑”
に対して“緑”、頂小葉の大きさは「男爵薯」および「花標津」” より小さい“小”、小葉の大きさは「男爵薯」より小さく「花標津」並の“中” です。花の数は「男爵薯」および「花標津」よりも少ない“中”、花の大きさは「花標津」より小さく「男爵薯」並の“中”、花色は1次色が「男爵薯」および「花標津」と同様の“赤紫系”
2次色は「男爵薯」の“白” に対して「花標津」同様“無” です。花粉の多少は「男爵薯」の“微”「花標津」の“やや多” に対し“少”、結果数は「男爵薯」の“無”「花標津」の“稀”
に対して“少” です。ふく枝の長さは「男爵薯」より長く「花標津」よりやや短い“やや長”、いも着生の深浅は「男爵薯」および「花標津」並の“浅”
です。いもの形は「男爵薯」の“球” に対して「花標津」と同様の“扁球”、皮色は「男爵薯」が“白黄” に対して「花標津」と同様の“淡赤”、表皮の粗滑は「男爵薯」および「花標津」並の“中”、目の深浅は「男爵薯」および「花標津」の“深”に対して“中”、肉色は「男爵薯」が“白”「花標津」が“淡黄”
に対して“黄白” です。
休眠期間は「男爵薯」より短く「花標津」並の“やや短”です。枯凋期は「男爵薯」より遅く「花標津」よりやや早い“中生”、初期生育は「男爵薯」および「花標津」と同様の“やや速”、早期肥大性は「男爵薯」より遅く「花標津」より早い“中”、上いも重は「男爵薯」よりも多く「花標津」並の“多”、中以上いも重は「男爵薯」および「花標津」より多い“多”、上いも数は「男爵薯」より多く「花標津」より少ない“多”、上いも平均一個重は「花標津」より大きく「男爵薯」並の“小”、でん粉価は「男爵薯」および「花標津」よりやや高い“やや低”
です。褐色心腐は「男爵薯」より多い“少”、打撲黒変耐性は「男爵薯」よりやや強く「花標津」より弱い“やや弱”、中心空洞は「男爵薯」より少ない“微”、 二次生長は「男爵薯」並の“微”
です。
Yモザイク病抵抗性は「男爵薯」および「花標津」より強い“やや強”、疫病圃場抵抗性は「男爵薯」が“弱”に対してほぼ「花標津」並の“強”、そうか病抵抗性は「男爵薯」「花標津」と同様の“弱”、粉状そうか病抵抗性は「男爵薯」および「花標津」より強い“中”
です。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性は「男爵薯」の“弱” に対して「花標津」同様“強” で、抵抗性遺伝子H1を有しています。
剥皮褐変は「男爵薯」より少なく「花標津」と同様の“ごく微”、水煮調理後の肉質は「男爵薯」および「花標津」と同様の“やや粉”、煮崩れの程度は「男爵薯」の“中”
に対して「花標津」並の“多”、調理後黒変の程度は「男爵薯」および「花標津」より少ない“微”、舌触りは「男爵薯」および「花標津」並の“中” です。チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」および「花標津」の“中”
に対して“少” です。食味は“中” で、用途は“調理” 用である。「男爵薯」同様、コロッケ適性があります。
普及見込み地帯:北海道の生食用ばれいしょ栽培地帯
千田圭一、入谷正樹、伊藤武、関口建二、大波正寿、池谷聡、藤田涼平
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