登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林40号 | 2000. 2.14 |
種苗法 | 第10617号 | 2002. 9.30登録 | |
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第32号 | 1999. 3. 9 2007.2.14廃止 |
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地方番号 | 根育31号 | (1995) | |
系統名 | 根系85号 | (1994) | |
系統番号 | K88039-12 | ||
組合せ | Atlantic×Cherokee (1988 根釧農業試験場) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 (北見農試) | 塊茎 (北見農試) |
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用途 | 食用 |
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長所 |
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短所 |
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昭和63年(1988)に北海道立根釧農試馬鈴しょ科(馬鈴しょ科は品種決定前の平成10年(1998)4月に根釧農試から北見農試に移転)において、ジャガイモシストセンチュウ及びそうか病抵抗性を有する加工食品用品種の育成を目標に、「Atlantic」を母、「Cherokee」を父として人工交配して得られた真正種子から育成された品種です。母親の「Atlantic」は、アメリカ合衆国で育成され、平成4年(1992)に「アトランチック」の名で北海道の奨励品種にも採用された、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性でそうか病に比較的強い加工食品用品種で、父親の「Cherokee」は、アメリカ合衆国で育成されたそうか病抵抗性品種です。
交配の翌年に実生個体選抜を開始し、第二次個体選抜の後「K88039-12」の系統名を与え、系統選抜において調理用として選抜しました。この間、北海道農試及び中央農試においてジャガイモシストセンチュウ抵抗性による選抜を行いました。平成6年(1994)に「根系85号」、平成7年(1995)に「根育31号」として関係機関に配布し、調理用品種としての実用性を検討してきた結果、北海道で現在栽培されている品種の中でそうか病に最も強いことなどが評価され、平成11年(1999)に北海道の奨励品種に決定し、平成12年(2000)2月に「ばれいしょ農林40号」として登録され、「スタークイーン」と命名されました。
食用としては枯凋期が遅く、淡黄肉であったことなどから普及は進まず、平成16年(2004)に白肉でそうか病抵抗性がさらに強い「スノーマーチ」が育成されたことから、平成19年(2007)2月に優良品種から廃止されました。廃止後の育成者権の持ち分は、農業・食品産業技術総合研究機構に移転されました。
系譜図
幼芽の色は淡赤で、幼芽の毛茸は「男爵薯」及び「農林1号」並の中です。そう性は「男爵薯」同様中間型です。茎長は「男爵薯」より長い中で茎数は少ない。枯凋期の割には茎長が短く、倒伏は少ない方です。茎色は緑の一次色に赤紫の二次色が斑紋状に分布します。分枝数は「男爵薯」より多く「農林1号」並の中です。頂小葉及び小葉の形は「男爵薯」より細く「農林1号」並の中で、大きさは「男爵薯」より小さく「農林1号」並の中に属します。健全株にウイルス病によるモザイク症状に似た退緑斑紋が現れることがあります。葉軸の色は緑です。花の数は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない中で、花の大きさは「男爵薯」及び「農林1号」並の中です。花色の一次色は極淡い赤紫系で、二次色が両面先白に分布する。花粉の多少は「男爵薯」よりやや多い少で、結果数は稀で、「農林1号」より少なく「男爵薯」より多い。
ふく枝は「男爵薯」及び「農林1号」並の短、いも着生の深浅は「農林1号」より浅く「男爵薯」並の浅です。いもの形は扁球形で、皮色の一次色は白黄で、二次色は無い。表皮の粗滑は「男爵薯」より粗いやや粗に属し、表皮のネットは微です。目の深浅はやや浅で、「男爵薯」及び「農林1号」より浅い。肉色の一次色は黄白で、二次色は無い。
休眠期間は「男爵薯」より短く「農林1号」並のやや短に属する。初期生育は「男爵薯」よりやや遅い中ですが、「男爵薯」より早く開花期に達します。枯凋期は「男爵薯」より遅く「農林1号」よりやや早い中生です。いもの早期肥大性は「男爵薯」並のやや速で、特に一個重と澱粉価は早い段階から「男爵薯」を上回っています。上いも収量及び中以上のいも収量は「男爵薯」より多く「農林1号」より少ない中に属し、枯凋期に相応する収量性は十分にあります。上いも数は「男爵薯」より少ないやや少で、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「農林1号」より小さい中に属します。上いもの粒ぞろいは「男爵薯」より良く「農林1号」並のやや整です。でん粉価は「男爵薯」より高く「農林1号」より低いやや低です。
葉巻病抵抗性は「男爵薯」及び「農林1号」並の弱、Yモザイク病抵抗性は「男爵薯」並の弱です。疫病圃場抵抗性及び疫病による塊茎腐敗抵抗性は「男爵薯」並の弱に属します。そうか病抵抗性は「男爵薯」より明らかに強く「アトランチック」よりやや強いやや強に属しますが「Ackersegen」よりやや弱い。そうか病の低密度汚染圃場ならば、病いも率、発病度とも「男爵薯」の半分程度に抑えることができますが、高密度汚染圃場では皮目に亀裂状の病斑が目立つことがあります。亀の甲病には「男爵薯」より弱い。粉状そうか病抵抗性は「男爵薯」及び「農林1号」より強いやや強です。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子型はH1と推定され、パソタイプRo1に抵抗性です。褐色心腐は「男爵薯」並の微、中心空洞は「男爵薯」より少ない微です。二次生長は「男爵薯」より多いやや少です。
調理後の肉質は「男爵薯」並のやや粉質、調理後黒変の程度は「農林1号」より少なく「男爵薯」並の少です。煮くずれの程度は「男爵薯」より多いやや多で、舌ざわりは「男爵薯」及び「農林1号」並の中です。ビタミンCは「男爵薯」よりわずかに多い程度です。食味は中の上で、あっさりして嫌味の少ない味です。煮くずれが「男爵薯」よりやや多いので、長時間の煮込み料理にはあまり向きませんが、サラダやコロッケには適しています。
チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない微です。
北海道一円(そうか病発生地帯)に普及を見込んでいます。
・そうか病の病いも率15%以下を目標とした場合、「男爵薯」の病いも率が30%以下の圃場に栽培する。
・健全株にウイルス病によるモザイク症状に似た退緑斑紋が発生することがあるので、原採種栽培では抜き取りにあたり注意する。
・二次生長が発生しやすいので、培土、収穫時期などに注意する。
・亀の甲病や亀の甲病類似症状が発生することがあります。
伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、池谷聡
今友親、三井康、相場聡(ジャガイモシストセンチュウ抵抗性選抜)