登録番号:【農林】ばれいしょ農林39号 (1997. 8.18) 【種苗法】第8637号 (2001. 2. 9)
地方番号:西海26号
系統名 :長系100号、愛系41号
系統番号:T8967-13
用途 | 食用 (暖地二期作用) |
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長所 |
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短所 |
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平成元年(1989)長崎県総農林試愛野馬鈴薯支場における秋作において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する暖地二期作向け食用品種の育成を目的に、アメリカ合衆国のジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有するポテトチップ用品種「Atlantic」を母、国際バレイショセンター(CIP)から導入した種間交雑由来の青枯病圃場抵抗性系統「P-7」を父として人工交配し、翌年の春作から選抜を開始し育成されたものです。平成6年(1994)に「西海26号」として実用性の検討を重ねた結果、平成9年(1997)に「ばれいしょ農林39号」として登録され、育成地の畑から眺望できる普賢岳にちなみ、またいもの形の丸さから「普賢丸」と命名されました。
暖地育成品種で初めてのジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種です。
(「普賢丸」の系譜図へ)
茎長は、春・秋作とも「デジマ」や「ニシユタカ」より短く、特に春作では極短〜短と著しく短い。茎数は、春作では「デジマ」よりやや多く、秋作では少ない。分枝数は「デジマ」より少ない。茎の太さは「デジマ」と同様に中です。茎は基部にわずかに紫色を帯びています。そう性は中間〜やや開張型です。葉色は「デジマ」より淡く淡緑〜緑で、葉柄は長く、小葉の大きさは中で「デジマ」より大きく、密に着生しています。つぼみが落ちやすく、開花はまれです。花は白く、花粉量はやや少ですが、稔性があります。
いもの形は「デジマ」より扁平度が小さく球形に近い。目の深浅は極浅〜浅ですが、頂部の目はやや深く、ふく枝の着生部もややくぼんでいます。形状及び大きさのそろいは良い。皮色は黄で、表皮は「デジマ」より粗いやや粗です。肉色は「デジマ」より濃い黄〜淡黄です。
いもの休眠期間は「デジマ」並に短く、暖地二期作が可能です。萌芽期は、春作では「デジマ」並かやや早く、秋作ではほぼ「デジマ」並です。茎葉の熟性は、春・秋作とも「デジマ」及び「ニシユタカ」よりも早い中早生で、特に春作での黄変は早い。
いもの肥大始期は、春・秋作とも「デジマ」より早く、特に春作での早期肥大性に優れ、速〜やや速です。上いも数は、春作では「デジマ」より多いやや多ですが、秋作では「デジマ」並かやや少ない。上いも平均一個重は春・秋作とも「デジマ」より小さい中です。上いも収量は、春作では上いも数が多いので「デジマ」並ですが、秋作では劣ります。澱粉価は、春作では「デジマ」より高く、秋作ではほぼ「デジマ」並です。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子(H1)を有しており、パソタイプRo1に抵抗性です。収穫が遅れると、春作では腐敗しやすい。葉巻病に強く、Yモザイク病抵抗性はやや強で「デジマ」並もしくはやや強い。そうか病には「デジマ」よりやや強い中です。青枯病と疫病に弱く、粉状そうか病抵抗性はやや弱です。収穫時の皮剥けは難で、二次生長や裂開は極めて少ない無です。
食味は概ね「デジマ」並に優れています。調理時の肉色は淡黄で、煮くずれは「デジマ」並のやや多です。少なく、放冷後の調理後黒変は無い。
タラなど白身魚とのグラタン、粉ふきいも、マッシュポテトのサラダ、ジャガイモピラフ、コンソメスープ等に適する。
還元糖が多く、ポテトチップには適さないが、小いもを下ゆでして串揚げするのには良い。
温暖地・暖地の二期作栽培地域に適し、長崎県の島原半島と諫早市・北高来郡を中心とする地域に普及が見込まれます。
・早生でいもの早期肥大性に優れるため早掘りで能力を発揮するが、収穫時期が遅れると春作では高温障害を受けやすく、粗皮にもなりやすいので適期収穫に留意すること。
・春作においてふく枝着生部から腐敗しやすいので、そうか病の発生程度を考慮しながら石灰質資材と完熟堆肥の施用を心がけること。
・青枯病に弱いので、秋作では早植えしないこと。
・風による茎葉の損傷を受け、軟腐病が発生しやすいので注意すること。
△長崎(認定品種)
森元幸、石橋祐二、茶谷正孝、田渕尚一、小村国則