登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林10号 | 1961 |
種苗法 | − | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第 号 | ||
地方番号 | 北海20号 | ||
系統名 | 島系343号 | ||
系統番号 | 48005-57 | ||
組合せ | 41089-8×農林1号 (1948 北海道農業試験場) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 | 塊茎 (北見農試) |
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昭和23年(1948)に農林省札幌農事改良所島松試験地において、疫病に強いメキシコ原産の野生種S.demissumに栽培種を戻し交雑した種間雑種系統「41089-8」を母、「農林1号」を父として人工交配を行い、昭和26年(1951)に実生を養成し、以降選抜を重ねてきたものです。昭和30年(1955)に「島系343号」、昭和31年(1956)に「北海20号」として、関係機関に配布して生産力及び地方適否を検討した結果、昭和35年(1960)に「ばれいしょ農林10号」として登録され、「リシリ」と命名されました。
昭和37年(1962)に881ha栽培されましたが、昭和43年(1968)に優良品種から廃止されました。
(系譜図)
茎長は「農林1号」や「紅丸」より長く、よく繁茂し強剛ですが、肥沃地では倒伏することもあります。。茎は太く、茎数は多くはありません。そう性は開張型で、分枝、側枝は極めて多い。茎には濃い紫の着色があり、茎翼は波形です。花は淡青紫色で小さく、開花期間は長い方です。
ふく枝は極めて長くいも着は疎で、やや深く地中にのびる性質があります。いもの形は球形で、皮色は淡黄白ですが、部分的に淡紫で、収穫後漸次淡紫色を帯びていきます。目は深く目数も多い。肉色は白い。
休眠は長い。熟期は「紅丸」や「農林1号」より20日余り遅い極晩生です。いも数は「農林1号」より少ないが、中・大粒が多く、屑いもは少ない。収量は「農林1号」や「紅丸」を上回ることが多く、特に疫病が多発する場合にはその差が顕著になります。澱粉価は「農林1号」より2〜3ポイント高いので澱粉収量は多収で、澱粉原料用に適しています。冷涼な気候に適し、高温乾燥には弱い。
疫病抵抗性遺伝子R1を持ち、圃場抵抗性も国内の育成品種の中では最も強い方です。塊茎腐敗は極めて少なく、秋に湿潤な気象でも腐敗は少なく、湿害にも強い。ウイルス病には弱く、葉巻病が発生しやすい。軟腐病には比較的強いですが、青枯病には弱い。二次生長により形が不整となりやすく、裂開を生じることもあります。
蒸しいもは粉質で、食味は比較的良好ですが、いもの形が悪いので食用には向きません。
・中晩生種の「農林1号」「ニセコ」「紅丸」と組み合わせて栽培し、極晩生種として利用する。
・排水の良好な肥沃地において良い成績を示しますが、やせ地でもかなり収穫をあげることができ、ある程度の低湿地にも耐え、他の品種に比べ腐敗が少ない。
・粗放栽培にも耐え、開拓地や疫病の多発する地方にも適している。
・跡地地力の維持に対して十分留意する。
・増肥にも耐えうるが、収穫目標は4,500kg程度を限度とする。栽植密度は「農林1号」程度にしてよい。
・休眠が長く初期生育がおそいので、浴光催芽や早期培土で補う。
・ふく枝が極めて長いので、培土はやや深めに十分かける。
・生育末期まで茎やふく枝が丈夫なので、収穫7日位前にあらかじめ地上部を刈り取っておくと、掘り取りが容易になります。
永田利男、那須千一郎、関山治男、金川直人