原品種名:Early Rose
本第3016号
異名(外国):Aikainen Ruusu, Amerikansk Rosen, Carpentiere, Early Hative, Fruehe
Rosen, Korai Rozsa, Rannjaja Rosa, Ranniaja Roza, Rosenpotatis, Roz de
Vara, Tidling Rosen
異名(日本):倶知安丸形、倶知安長型、北の光、夏芋、二度芋、相澤一号、備前薄赤、程ヵ谷、薄赤 等
北海道農事試験場報告.1(1903.3) より
北海道農業試験場彙報第62号(1943)より
原品種名を「Early Rose」といい、1861年に北アメリカにおいて「Garnet Chili」の実生から育成された品種です。わが国には、明治6年(1873)にアメリカより七重官園に導入され、明治10年(1877)にはアメリカより札幌官園にも移入され、品種試験の結果、明治38年(1905)に優良品種に決定しました。
各地の風土に適しており、食用並びに澱粉用として栽培されました。特に明治時代に「雪片」とともに一世を風靡し、大正時代も最も作付の多い品種でした。各種病害虫に弱く、粒ぞろいがやや悪く二次生長による奇形の発生が比較的多く、さらに淡赤皮のため一般の嗜好に合わなかったことから「男爵薯」などに置き替わり、北海道における作付面積の割合は、昭和4年に27%、昭和10年に6%、昭和16年には2%と次第に減少していきました。北海道では昭和34年(1959)に優良品種から廃止されましたが、北海道で栽培されなくなったあとも、岡山県では「薄赤」と称してしばらく栽培が続きました。
そう性はやや開張で、茎長はやや短く、茎の節間下部は淡赤紫色を帯びます。熟期は「男爵薯」に次ぐ早生です。花は白色です。いもは扁平な長楕円形でこぶ状の隆起があります。皮色は淡赤色です。目は浅く目数は中位です。肉色は白い。肉質は粉質、食味は良好で、貯蔵中の食味の低下が少ない。北海道各地の栽培に適し、特に青果用に適していました。
北海道農事試験場.“主要農作物優良品種の解説”.北海道農事試験場彙報.46(1927)より
「アーリー・ローズ」は米国に於いてブレシー氏(Bresee)が「ジャツクソン・ホワイト」(Jackson White)より育成したるものにして、本邦へは明治六、七年頃輸入せられしと云ふ。品質良好にして各地の風土に適し、広く普及せる品種なり。早熟なるを以て俗に「夏薯」と称す。茎枝の姿勢開張し、葉は緑色楕円形なり。花は白色なり。薯塊は長楕円形にして稍扁平、種皮淡紅色を呈し滑なり。目は浅く、断面扁円をなす。肉質は脆く淡黄色をなし風味佳良なり。大さは平均一個二十二匁内外なるも大なるものは八十匁以上に上る。水分に富み澱粉含有量亦少からず。(澱粉含量一七・五%)生食用として貴ばれ収量多し。開花始は六月下旬にして茎葉の枯凋期は八月下旬なり。
Jane Percy."Heritage Accessions".Potato Gene Resources Newsletter.13
(2006) (Potato Research Center)
北海道農事試験場.“明治三十五年農事試験成績 馬鈴薯”.北海道農事試験場報告.1(1903.3)
山田勝伴.“本道馬鈴薯栽培の沿革”.北海道農会報.5(60),913-915 (1905)
北海道農事試験場.馬鈴薯 《爪哇芋》.北海道農事試験場彙報 6:1-30 (1908)
Potato : Early Rose (Canada's Heritage Seed Program)