ペポー

原品種名:Pepo
異名:天塩薯



(1)来歴

 ドイツにおいて「Deutsches Reich」を母、「Jubel」を父として人工交配を行い育成された品種です。多収ですが品質があまり良くないので、ドイツでは豚の飼料用として栽培されていた品種です。
 わが国には大正13年(1924)にドイツのカーメッケ商会から輸入され、昭和4年(1929)に優良品種に決定しました。昭和10年(1935)には北海道の作付面積の15%、昭和16年(1941)には18%、昭和19年(1944)には11%を占めていましたが、本品種を父親として育成された「紅丸」の普及により作付は急速に減少し、昭和34年(1959)に優良品種から廃止されました。

(2)特性

 中晩生で、そう性はやや開張、茎色は緑で紫褐色の色素が淡く分布します。葉は濃緑色です。花は淡紫色です。いもの形は長楕円形です。皮色は黄白色で表皮は粗く、目は浅く少ない。粒ぞろいは良好です。肉色は白い。澱粉価は低く、肉質は中程度で味も良くありませんが、多収なので特にでん粉用として好評でした。やや冷涼な地方の壌土で良好な生育をします。二次生長が出やすいとい欠点もありましたが、北海道東北部では二次生長があまり出なかったことから、「天塩薯」などと呼ばれて北部地方では普及しました。
 褐色心腐が多いので排水が過度の土地を避け、圃場に堆肥、緑肥等の有機物を多施して土壌の保水力を増すか、種いもを深く植え付け培土も深めに行い、土壌を適湿に保つことが重要です。



文献及び関連Web

Pepo(1919) (European Cultivated Potato Database)



じゃがいも品種詳説 TOP