アイユタカ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林48号 2003. 9. 5
種苗法  第13879号 2006. 3. 9
長崎県認定品種
地方番号 西海29号    
系統名 長系112号     
系統名 愛系85    
系統番号 T9629-8    
組合せ デジマ×長系108号 (1996 長崎 春作) 系譜図

塊茎 (長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場・いも類振興会 パンフレットより)

用途 食用 (暖地二期作用)
長所
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
  • 多収、大いもで外観に優れる
  • ビタミンCが多く、調理特性に優れる
短所
  • 青枯病、そうか病、疫病に弱い

(1)来歴

 長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場において平成8年(1996)春作に、大いも、多収、良食味の「デジマ」を母、ジャガモシストセンチュウ抵抗性遺伝子を二重式に持ち、外観、食味に優れる「長系108号」を父として交配し、平成10年(1998)から育成・選抜してきた系統です。平成15年(2003)9月に「ばれいしょ農林48号」として命名登録され、「アイユタカ」と命名されました。
系譜図

(2)形態的特性

 草型は直立性です。塊茎の皮色は白黄、形は短楕円、目が浅く、滑皮で、大いもでも型くずれや裂開、二次生長などの生理障害が極少なく、収穫後の皮剥けも少なく、外観に優れます。肉色は淡黄で「デジマ」よりやや黄色味が強い。大いもでも中心空洞などの内部異常が少ない。

(3)生態的特性

 地上部の生育は、出芽期は「デジマ」よりも春作マルチ栽培で3日、秋作普通栽培で1日遅いですが、塊茎の形成・肥大は早い。早晩性は「デジマ」よりやや早い中生です。株当り上いも数および平均一個重は、概ね「デジマ」、「ニシユタカ」並です。収量は、春作・秋作とも「デジマ」より多く、「ニシユタカ」と比較して春作ではやや少ないですが、秋作では多い。

(3)病害虫抵抗性

 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子(H1)を有する。

(4)品質特性

 肉色は淡黄〜黄白で、デジマより黄色味が強く、肉が軟らかく食感が滑らかです。剥皮後の褐変、加熱後の黒変は無く、調理特性に優れる。ビタミンCの含有量が多い。

(5)適地及び栽培上の注意

ジャガイモシストセンチュウ抵抗性がある本系統の栽培により、土壌中の線虫密度が低下する。
マルチ栽培において出芽がやや遅れるので、芽焼け(高温障害)に注意する。
青枯病、そうか病、疫病には弱いので、健全な種いもを使用し、基本的防除を実施する。

採用県と普及見込面積

長崎県 1,400ha


文献及び関連Web

中尾敬、向島信洋、森一幸、石橋祐二、茶谷正孝、森元幸.“バレイショ新品種「アイユタカ」”.長崎総農林試研報(農業部門).30:1-28(2004).

暖地二期作向きばれいしょ新品種「アイユタカ」 九州沖縄農業研究成果情報
暖地向きバレイショ新品種候補系統「西海29号」 長崎県総合農林試験場
青果用バレイショの有望系統「西海29号」 長崎県総合農林試験場

ばれいしょ新品種「アイユタカ」発表 e-農林水産ながさき


じゃがいも品種詳説 TOP