登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林41号 | 2000. 8.25 |
種苗法 | 第8549号 | 2000.12.22登録 | |
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第35号 | 2000. 3. 7 | |
地方番号 | 北海79号 | (1992) | |
系統名 | 島系566号 | ||
系統番号 | 86033-98 | ||
組合せ | P392-3×69095-17 (1986 北海道農業試験場) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 (北見農試) | 塊茎 (北見農試) |
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。 |
用途 | 食用 |
---|---|
長所 |
|
短所 |
|
昭和61年(1986)に北海道農試において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する早生、大粒で調理適性の優れる食用品種の育成を目標に、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する「R392-3」を母、早生、大粒で外観に優れる「69095-17」を父として交配して、翌年より選抜を開始し、平成5年(1993)には「北海79号」として奨励品種決定調査等に供試してきたものです。平成9年(1997)に種苗法による品種登録申請を行い、平成11年(1999)に「十勝こがね」の品種名で出願公表され、平成12年(2000)12月に種苗登録されました。また、平成12年(2000)には北海道の奨励品種に決定し、ばれいしょ農林41号として命名登録されました。作付面積は100ha弱程度です。
(系譜図)
茎長は短く、茎の太さは中で、ともに「男爵薯」並です。茎色は緑で2次色は無く、茎翼は直です。分枝は少なく、そう性はやや直です。葉は「男爵薯」及び「農林1号」より淡い淡緑で、小葉は「男爵薯」より小さい中で、小葉着生の疎密は中です。花の色は白で、開花数は「男爵薯」より少ない少です。花粉量は「農林1号」より多い多で、自然結果は「農林1号」より多い中です。
いもの形は楕円体です。皮色は白黄で、表皮の粗滑は「男爵薯」並の中です。目の深さは「男爵薯」及び「農林1号」より浅い極浅です。肉色は淡黄です。
いもの休眠期間は「男爵薯」より約50日長い極長で、貯蔵性が良い。萌芽期、初期生育及び開花期は「男爵薯」より1週間ほど遅い。熟性は「男爵薯」並の早生です。いもの早期肥大性は「男爵薯」より遅く「農林1号」並の中で、生育後期まです。上いも数は「男爵薯」より少ない少で、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「農林1号」並の大です。いもの粒ぞろいは「男爵薯」より良い整です。上いも収量は「男爵薯」より約1割少なく、中以上いも収量はほぼ「男爵薯」並です。澱粉価は「男爵薯」より1ポイント程度高く、「農林1号」並の中です。
種いもの温蔵処理などで、休眠明けを促してから植え付けると、萌芽期及び初期生育はやや早まり、生育全体が早生化し、栽培しやすくなります。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を有しており、パソタイプRo1に抵抗性です。葉巻病及びYモザイク病抵抗性は「男爵薯」並の弱です。疫病抵抗性遺伝子R1を有していますが、圃場抵抗性は「男爵薯」並かやや弱い弱で、茎から罹病しやすい。塊茎腐敗抵抗性は「男爵薯」より弱い極弱で、ストロンから腐敗が入りやすい。そうか病及び粉状そうか病抵抗性は「男爵薯」並の弱です。青枯病抵抗性は弱ですが「男爵薯」よりやや強い。
褐色心腐及び二次生長は「男爵薯」より少ない無です。中心空洞は180g以上の規格で「男爵薯」並に発生します。打撲耐性は「農林1号」より強く「男爵薯」並です。
剥皮歩留りは「男爵薯」より高く「トヨシロ」並で、トリミング数は「トヨシロ」や「男爵薯」より少ない。剥皮褐変は「男爵薯」及び「トヨシロ」より少ない。調理後の肉質は「男爵薯」並のやや粉質で、調理後黒変の程度は「男爵薯」より少ない無です。煮くずれは「男爵薯」並かやや少ない中です。食味は「男爵薯」より良い上です。一次加工適性に優れ、高い業務向け適性を持ち、さらに休眠が長いので貯蔵後の品質劣化が少なく、長期間の供給が可能です。
チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない微で、フライ調理適性も高い。
適地:寒地・寒冷地 (北海道一円)
・休眠期間が長いため通常の種いも貯蔵では萌芽及び初期生育が遅れやすいので、下記のような扱いが必要です。
1)休眠期間を短くするために、収穫後D型ハウスなどで仮貯蔵し、凍結の恐れの生じる10月中旬頃までに本貯蔵とする。
2)休眠明けを早めるために、3月上旬から10℃以上20℃を上限として貯蔵温度を高くし、また早めの種いも切断を行う。
・疫病による塊茎腐敗が発生しやすいので、予察情報などを活用し、適正な防除に努める。
・2L規格以上のいもでは中心空洞が発生することがあるので、茎数の確保に努め、疎植・多肥を避ける。
森元幸、小林晃、高田明子、津田昌吾、高田憲和、梅村芳樹、中尾敬、吉田勉、木村鉄也、米田勉、佐藤正人、西部幸男、三井康、清水啓
多用途の調理に適する良食味ばれいしょ「十勝こがね」 (北海道農業研究センター生まれの作物たち 北海道農業研究センター育成品種一覧)