さやか
登録番号 |
農林認定 |
ばれいしょ農林36号 |
1995. 9 |
種苗法 |
第6027号 |
1998. 1.22登録 |
北海道優良品種 |
ばれいしょ北海道第28号 |
1995. 3.31 |
地方番号 |
北海74号 |
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(1992) |
系統名 |
島系558号 |
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系統番号 |
83015-110 |
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組合せ |
Pentland Dell×R392-50 (1983 北海道農業試験場) |
系譜図 |
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花 (北見農試) |
草姿 (北見農試) |
塊茎 (北見農試) |
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用途 |
食用 (サラダ等の業務加工用) |
長所 |
- 大粒、多収である。
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。
- 白肉で目が浅く、調理・一次加工特性に優れる。
- 曝光してもグリコアルカロイドの生成が少なく、緑化もしにくい。
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短所 |
- 澱粉価がやや低い。
- 大粒いもが多く、中・小粒いもの採種が難しい。
- PVYの病徴が不明瞭で、健全株もウイルス病と紛らわしい。
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(1)来歴
昭和58年(1983)に北海道農業試験場において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の食用品種の育成を目標に、イギリスで育成された疫病抵抗性主働遺伝子R1R2R3を持つ大粒多収の「Pentland Dell」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性主働遺伝子H1を3重式に持つ「R392-50」を父として交配し、翌年に実生を養成し選抜を開始した。平成4年(1992)に「北海74号」の地方番号を付して食用品種としての実用性について検討した結果、平成7年(1995)に「ばれいしょ農林36号」として登録され、「さやか」と命名された。
外観が優れ剥皮歩留りがよいため、主にサラダなどの業務加工用として利用されており、北海道における作付面積は平成17年(2005)に1,000haを超え、平成26年(2014)には1,436haであった。
系譜図
(2)形態的特性
幼芽の色は白く、萌芽時の葉色は緑である。茎の長さは「男爵薯」より長く「農林1号」よりやや短い中で、茎数は少ない。茎色は緑で2次色は無く、茎翼は直である。分枝は少なく、そう性はやや開張型である。葉は緑色、頂小葉及び小葉の大きさ及び形は中で、葉縁が波状を呈しており、小葉着生の疎密は中。健全株でも下葉が巻き上がったり、葉の裏に褐色の小斑点が現れ、ウイルス病と紛らわしいことがある。がくの色は「男爵薯」のように紫色を帯びておらず緑色である。花色は白で、花数は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない中である。花粉は中程度みられます、自然結果は少ない。
いも着はやや密である。いもの形は卵形で、表皮は「男爵薯」より白い白色で滑らか、目は浅くて少ない。粒ぞろいが良く、いもの外観はきわめて良い。肉色は「男爵薯」と同様に白い。
(3)生態的特性
塊茎の休眠期間は「男爵薯」並のやや長である。萌芽期は「男爵薯」並で、初期生育は「男爵薯」よりやや遅く、開花期も「男爵薯」よりやや遅い。枯凋期は「男爵薯」より約2週間遅く「農林1号」より早い中生に属する。
上いも数は少なく、上いも平均一個重が極めて大きい、個重型品種である。上いも収量は「男爵薯」より多く「農林1号」並の多。澱粉価は「農林1号」より低く「男爵薯」と同等ないしわずかに低い。多肥による黄変期の遅れや茎の徒長は「農林1号」より少なく増収効果は高い。また、密植により2Lを減少させ、L、Mを増加できる。貯蔵性は良好である。
(4)病害虫抵抗性
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を持ち、北海道で発生しているパソタイプRo1に対して抵抗性です。疫病抵抗性遺伝子R1R3を持つが、圃場抵抗性は弱いので一般の罹病性品種同様の防除が必要である。そうか病、粉状そうか病、黒あざ病、青枯病には弱い。ウイルス病株の発生率はやや多く、PVY-Oを接種した場合のえそ反応は無ないし弱く、不明瞭なえそ斑が現れることがある。中心空洞、褐色心腐、黒色心腐はほとんど発生することが無く、二次生長の発生は「男爵薯」より少ない。
(5)品質特性
ヤスリピーラーによる剥皮歩留りは「男爵薯」、「農林1号」及び「とうや」より高く、剥皮後のトリミングが少なくてすむことから、一次加工などの業務用に適する。剥皮褐変は「男爵薯」及び「農林1号」より少ない。肉質は中で煮くずれは「男爵薯」より少なく「農林1号」並である。水煮放冷後の調理後黒変は「農林1号」より少なく「男爵薯」並かやや少なく、調理特性に優れる。食味は「男爵薯」よりやや水っぽい。グリコアルカロイド含量は「男爵薯」よりやや少なく、いもを光にさらした場合のグリコアルカロイドの生成量は「男爵薯」より明らかに少なく、緑化の進みも少ない。蒸しいも、サラダ、煮物に向き、チップやフライには向かない。
(6)栽培上の注意
北海道一円に適する。
・澱粉価の上昇がいもの肥大に比べやや遅れるので、完熟後に収穫する。
・Yモザイク病のえそ反応が無〜弱なので、採種管理にあたっては特に注意する。
・ごく大いもができやすいので、多肥・疎植を避け、5,000株/10a以上の密植とする。
育成従事者
梅村芳樹、西部幸男、入倉幸雄、内沢啓、森元幸、三井康、清水啓、佐藤正人、米田勉、木村鉄也、石井現相、小原明子、中尾敬、吉田勉
文献及び関連Web
三浦豊雄 編.“農作物優良品種の解説 (1987-1995)”.北海道立農業試験場資料 第26号(1996).北海道立中央農業試験場
ばれいしょ新品種候補系統「北海74号」(さやか) (研究成果情報 北海道農業)
ばれいしょ「北海74号」(さやか) (成績概要書)
ばれいしょ品種の形態及びウイルスの病徴 (1) (独立行政法人種苗管理センター)
業務用サラダに人気のばれいしょ「さやか」 (北海道農業研究センター生まれの作物たち 北海道農業研究センター育成品種一覧)
ジャガイモ品種「さやか」ジャガイモ博物館(浅間和夫氏による解説))
「さやか」のパンフレット
「さやか」の母親「Pentland Dell」に関して
Pentland Dell (European Cultivated Potato Database)
「さやか」の父親「R392-50」に関して
森元幸、西部幸男.“寒地作物遺伝資源情報 第4号 ばれいしょ R392-50”.北海道農試研究資料.33,102-106(1987)