登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林24号 | 1979 |
種苗法 | − | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第15号 | 1979. (1993廃止) |
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地方番号 | 北海57号 | ||
系統名 | 島系508号 | ||
系統番号 | WB66108-109 | ||
組合せ | 男爵薯×WB61037-4 (1971 北海道農業試験場交配) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 (北見農試) | 塊茎 (北見農試) |
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昭和41年(1966)に北海道農試において「男爵薯」を母、「WB61037-4」を父として交配した組合せより選抜されたものです。昭和42年(1967)に実生個体選抜試験を行い、昭和44年(1969)に「WB66108-19」の系統番号で系統選抜試験に供試し、昭和49年(1974)に「島系508号」の系統名、昭和50年(1980)に「北海57号」の地方番号を付して奨励品種決定調査等に供試してきました。昭和54年に「ばれいしょ農林24号」として登録され、「ハツフブキ」と命名されました。
早掘り適性にも優れた「コナフブキ」が育成されたことから普及は伸び悩み、昭和58年(1983)に245ha作付されたのを最高に以降は作付面積は減少し、平成5年(1993)に優良品種から廃止されました。
(系譜図)
そう性はやや直立型です。茎長は「農林1号」、「紅丸」よりやや短い。茎数、分枝数とも中で、茎の太さは「農林1号」並の中です。茎色は緑色で紫色の斑紋があります。茎の地下部、分枝の基部、葉柄及び小葉の基部も紫色を帯びています。萌芽時の葉は緑色に紫色を帯びますが、生育が進むと緑色になります。小葉の大きさはやや大きく、頂小葉の形は「農林1号」、「紅丸」より丸みを帯びています。花は淡紫色で大きさ花数ともに中で、花粉の量は少なく自然結果は認められません。
いもの形は扁卵形で大きさはやや小さい。皮色は黄白でネットはなく、目の数、深さとも中です。肉色は白い。
いもの休眠はやや長い。萌芽および初期生育は「農林1号」並かやや遅い。いもの肥大は「紅丸」並で「農林1号」より遅いですが、澱粉価の上昇は早い。黄変期は「農林1号」より20日以上早く「男爵薯」より数日遅い早生に属します。
上いも平均一個重はやや小さく株当り上いも数が多い個数型の品種です。澱粉価は19%程度で「農林1号」より1ポイント以上高い。枯凋期のいも収量は「農林1号」の80%、澱粉収量は90%程度ですが、「ハツフブキ」の茎葉黄変期にあたる8月下旬の早掘りにおける澱粉収量は「紅丸」並ないし上回り「農林1号」より多収です。
疫病抵抗性遺伝子型はR1で、感染後の発病経過は「農林1号」並かやや早い。疫病菌による塊茎腐敗に対して「農林1号」並抵抗性です。いもの軟腐病抵抗性は中程度、粉状そうか病抵抗性は「農林1号」よりやや弱く、青枯病にもやや弱い。夏疫病、菌核病には他の早生品種同様やや弱い。
葉巻病の発生は一般品種並で病徴は明瞭です。PVY-Oに対してえそ型病斑を生じ、PVY-Tに対しては軽いれん葉と脈えそを現します。PVAには感受性で無病徴となります。PVX-bにも感受性で病徴を現しません。PVSのモザイク系統に対しても感受性で病徴を現しません。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性は持っていません。
中心空洞は発生しませんが、褐色心腐は稀に発生することがあります。
肉質は中で、調理後の黒変は多い。
澱粉粒子は小粒のものがやや多いですが、澱粉の最高粘度は「農林1号」、「紅丸」より高い。
全道に適し、早生の澱粉原料用品種として、中晩生品種に配合して栽培するとされていました。
・栽培上の注意は「農林1号」に準ずるが、早期収穫用であるため初期生育の促進を図る。
・高温乾燥年には夏疫病が発生するので注意する。
・ジャガイモシストセンチュウ抵抗性はないので、線虫発生地帯では感受性品種の「農林1号」、「紅丸」と同様の扱いとする。
・青枯病に弱い傾向があるので「男爵薯」で青枯病が認められる畑への作付は避ける。
西部幸男、坂口進、高瀬昇、入倉幸雄、奥山善直、梅村芳樹、田畑健司、阿部政行