登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林12号 | 1961. 4 |
種苗法 | − | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第7号 | 1971. 6.17 (1961-) |
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地方番号 | 北海22号 | (1958) | |
系統名 | なし | ||
系統番号 | 52078-16 | ||
組合せ | 島系267号×島系232号 (1952 北海道農業試験場) | 系譜図 |
花 (北見農試) | 草姿 (北見農試) | 塊茎 (北見農試) |
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用途 | 澱粉原料用 |
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長所 |
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短所 |
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昭和27年(1952)に北海道農試島松試験地において、「島系267号」を母、「島系232号」を父として人工交配し、翌年より実生を養成して選抜を重ねたものである。昭和33年(1958)に「北海22号」の地方番号を付与し、生産力及び地方適否を試験した結果、昭和36年(1961)に「ばれいしょ農林12号」として登録され、育成地があった恵庭市にちなみ「エニワ」と命名された。
澱粉原料用品種として北海道では昭和43年(1968)に8,951ha作付されたのをピークに作付は減少を続けて、2004年以降は200haを割っている。平成25年(2013)には136ha作付され、翌年から作付面積公表対象の主要品種から外された。大部分は十勝地方の沿海部で栽培されている。
澱粉原料用の他、食用として「マリモ」の名で販売されたり、ポテトチップの原料として使われることもあった。
なお、加工食品用の「トヨシロ」をはじめ国内で育成された低糖性の加工食品用品種・系統の多くは「エニワ」に由来しており、低糖性の遺伝資源としても重要な役割を果たしてきた。
(系譜図)
そう性は直立型で、茎の長さは「紅丸」よりやや短い中だが、よく繁茂する。茎は太くはなく、数も少ないが、分枝、側枝の発生はやや多い。茎は緑色で2次色は無い。茎翼は直です。葉色は淡緑、小葉の大きさはやや小さく、着生はやや疎である。花色は白で、数は「農林1号」より少ない中だが、開花期間は長い方である。花粉の量は中程度で、自然結果は少ない。
ふく枝が比較的長く、いもの着生が疎なので緑化が多い。いもは扁球形で、扁平度が強い。皮色は淡黄褐色で表皮はやや粗く全面ネット状を呈する。目はやや浅く、目数は中位である。肉色は白い。
休眠期間が長く、貯蔵は容易である。初期生育は遅く、早期肥大性も劣るが、後期の肥大が急速である。枯凋期は「農林1号」程度の中晩生に属する。
上いも数は中程度で、上いも平均一個重が大きく、中・大粒が多く、粒ぞろいが良い。上いも収量は「農林1号」並かやや少ないが、澱粉価は「農林1号」より1〜2ポイント高い。「農林1号」や「紅丸」に比べると適応性は広くなく、必ずしも栽培容易とはいえない。高温・乾燥には弱く、比較的冷涼な気候に適し耐湿性が強いので、十勝沿岸地域の冷涼な湿性の低地帯に多く栽培されてる。
疫病抵抗性遺伝子R1を保有する。疫病による塊茎腐敗抵抗性は強で、北海道の栽培品種の中では最も強い方に属する。PVY-Oに罹病するとえそ型病斑を示し判別しやすい。PVY-Tに対する病徴は軽い脈えそを現す。PVAには感受性だが病徴を現さない。PVX-oとPVX-bの両系統に感受性である。PVSのモザイク系統に対しては病徴を示さないが、退緑した小斑点を生じることもある。葉巻病の当代病徴による頂部の立型が著しく、葉は黄〜黄白に着色する。
粉状そうか病には極めて強い。青枯病にも強い。半身萎凋病、軟腐病、象皮(亀甲)症状の発生は比較的少ない。ジャガイモシストセンチュウには感受性である。
中心空洞の発生が中程度と多く、褐色心腐も少とやや出やすいが、二次生長はみられない。
澱粉粒子の大きさは「紅丸」並である。「紅丸」に比べ澱粉中の灰分及びリンが多く、糊化した際の最高粘度は「紅丸」より高い。総じて、澱粉の品質は「紅丸」より劣り、「コナフブキ」と同様、固有用途のうち麺類、春雨、片栗粉などには対応可能だが、長期間にわたり冷蔵保管される加工食品(水産練製品、ハム、タレ、ソース)や養鰻用のアルファ澱粉では問題になることがある。
肉質は粉質で、食味は良いが、中心空洞や褐色心腐が多いので、食用には不適である。休眠が長く、還元糖含量が少ないのでポテトチップ原料にも使用可能だが、乾物率が高過ぎて製品が堅めに仕上がる傾向がある。グリコアルカロイド含量は、食用品種の中で多いとされる「メークイン」並かやや多い。
北海道一円に適し、排水の良い肥沃地に好適する。二次生長の発生が多いところにも適合する。
・「紅丸」や「農林1号」程度の栽植密度や施肥量とするのが望ましい。中心空洞の発生を抑えるため、疎植・欠株・晩植を避け、窒素の後効きをさせないようにする。
・休眠が長いので、浴光催芽や早期培土を行うとよい。
・塊茎肥大が遅いので、早掘りには適していない。
・ふく枝が比較的長いので、培土はやや早めに行い、しかも十分かけるようにする。
・比較的冷涼な気候に適し、高温乾燥の条件では減収しやすい。
北海道
永田利男、那須千一郎、山上尚、岡啓
エニワ (農林認定品種データベース Agriknowledge)
北海道立農業試験場.“農作物優良品種の解説 (1961-1977)”.北海道立農業試験場資料 第9号(1979).北海道立中央農業試験場
馬鈴薯北海22号について (農業技術情報広場)