登録番号 | 農林認定 | ばれいしょ農林9号 | 1959 |
種苗法 | − | ||
北海道優良品種 | ばれいしょ北海道第5号 | 1971.6.17登録 1975.4.10廃止 |
|
地方番号 | 北海15号 | ||
系統名 | 島系269号 | ||
系統番号 | 48001-6 | ||
組合せ | 農林1号×Mirabilis (1948 北海道農業試験場) | 系譜図 |
花 | 草姿 (根釧農試) | 塊茎 畑作物の新品種(昭和30〜38年度)(農林水産技術会議事務局) |
画像をクリックすると大きな画像が表示されます(草姿のみ) |
昭和23年(1948)に農林省札幌農事改良実験所島松試験地において、「農林1号」を母、「Mirabilis」を父として人工交配を行い、昭和25年(1950)に実生を養成して選抜を重ねたものです。昭和30年(1955)に「島系269号」、昭和31年(1956)に「北海15号」の地方番号を付与して関係機関に配布し、生産力及び地方適否を試験した結果、昭和34年(1959)に「ばれいしょ農林9号」として登録され、「ニセコ」と命名されました。
北海道では昭和37年(1962)に2,499ha作付されましたが、昭和50年(1975)には優良品種から廃止となりました。
(系譜図)
茎長は「紅丸」や「農林1号」より若干短く、徒長したり倒伏することは少ない。茎は太くはなく、茎数も多くはない。分枝や側枝は少ない。茎翼は波で、茎に部分的に極淡い赤色の着色があります。葉色は比較的濃緑で、小葉は小さく葉面は粗い。花は極淡紫色で白地に近く、花弁の先は白い。花は小さく、花数も少なく開花期間は短い。
いもの形は長卵形に近く、基部が細く湾曲することがあります。皮色は鮮紅で目の部分が濃赤紫色を帯び、表皮は滑らかです。目は浅く、数も比較的少ない。肉色は白い。
熟期は「紅丸」や「農林1号」より4〜5日遅い晩生で、道東、道北地方ではさらに遅れる傾向があります。収量は「農林1号」や「紅丸」より10%前後増収することが多く、肥沃地で多収を示します。いもは中・大粒で粒ぞろいも良い。澱粉価は「農林1号」よりやや高い。
疫病抵抗性主働遺伝子は持っていませんが、「農林1号」並で比較的強い。Xモザイク病及びYモザイク病には弱い。黒あざ病やそうか病にはやや強い傾向があります。過湿に特に弱い。褐色心腐を生じやすい。
蒸しいもの肉質は粉質で食味は良好ですが、褐色心腐を生じやすいので食用には向きません。
澱粉粒子が小さい欠点はありますが、澱粉原料用として利用されます。
北海道内の澱粉原料用晩生種として奨励し、中晩生の「紅丸」や「農林1号」と、極晩生の「ヨウラク」との中間品種に利用するとされており、後志、宗谷管内及びこれに類似する天北及び上川、網走、十勝地方の一部などに奨励されていました。
・乾燥しやすい肥沃地に適し、よく性能を発揮しますが、やせ地や泥炭地、あるいは低湿地には不適です。
・茎長が短いので栽植密度をつめて施肥量もやや多めにし増収をはかる。吸肥性が強いので後作に留意する。
・休眠が長く萌芽がおそいので、早期培土や浴光催芽を行うとよい。多収穫を目的とする場合も「紅丸」や「農林1号」並に扱う。
・収穫時期を失すると腐敗が多くなる傾向があるので、茎葉黄変期になればやや早めに掘り取るようにつとめる。
・二次生長の発生が多い地方にも適している。
永田利男、那須千一郎、関山治男、金川直人