ⅩⅡ 世界のさつまいも事情
1.世界のさつまいも生産と消費
2006年の作付面積は900万ha、1ha当りの生産量は13.7t、生産量は1億2千4百万tで、じゃがいもの約分の規模となっています。アジアが全世界生産の9割を占めており、とくに中国は1億tで世界の81%と群を抜いています。
その他にはナイジェリア346万t、ウガンダ263万t、インドネシア185万t、 ベトナム146万t、日本99万t、インド96万tなどがこれに次ぐ主産国です。
年間1人当たりの消費量は、FAOの統計(2003)によればソロモン諸島の176.7kgを筆頭に、ブルンジ 116.2kg、ルワンダ 97.3kg、ウガンダ 84.2kg、中国 36.8kgと続き、日本は6.5kg、世界の平均は10.6kgとなっています。
青果用等としての消費に限定すると先進国では我が国がトップの4.9㎏ で、このほかにはニュージーランドが4㎏、米国は1.5㎏の水準にとどまっています。また米国の一般家庭での利用方法は、缶詰などの保存食を用いることが多いようです。
2.中国
中国は世界最大の生産国で、四川省、山東省、河南省が主産地です。栽培面積は、1960年代には900万ha以上だったのが、2000年には600万ha、を割り込み、最近では530万ha台後半の水準になっています。
これは、食生活の向上に伴って大豆やトウモロコシに置き変わったためのようです。一方、同じ時期に単収は1ha当たり10t→15t→19tと着実に向上しています。
用途は、1960年以前は5割が農民の主食で、3割が飼料用だったのですが、現在では飼料用(豚)が50%、加工原料用(でん粉、麺類)が30%、食用と種子用がいずれも 5%程度の水準となっています。
各省の農業科学院や徐州甘藷研究センターなどで、品種改良が熱心に行われており、日本から持ち込んだ勝利100号(沖縄100号)などを基に改良を重ね、徐薯18号など100品種が育成されているほか、栽培技術も向上しているようです。
日本へは干しいもの他に焼きいもや油調品、ペーストなどの冷凍調製品を輸出しています。現在、15~18箇所の工場が約1.5万tを日本向けに生産中です。
かっては上海地区に多く位置していたのが最近では内陸部に移動し、安徽省が1万t程度を占めるようです。
3.韓国
韓国は全羅南道や慶尚南道などの南部地域で栽培されており、特に全羅南道では、でん粉原料用は済州島、食用は海南郡が主産地で30ha程度の大規模農家もあります。韓国でも中国と同じように、1960年代には15万ha以上だったのが、1970年代には10万ha、1980年代には5万haを割込み、現在では1.2万ha程度の水準になっています。
用途は、1960年代には食用が7割を占めていたのに対し、生活水準の向上に伴って消費量が急減し、現在では食用が40%、でん粉原料用が25%、アルコール原料用が20%となっています。特に加工された「でん粉」は、ほとんどが唐麺と呼ばれる春雨に利用されています。また、量的には少ないのですが、葉柄が野菜として一般に利用されているのも韓国の特徴です。
栽培されている品種は韓国で育成された「Shinyulmi」や「Yulmi」、加工用には「Hongmi」や「Eunmi」などの品種が広く栽培されていますが、日本からも高系14号などが持ち込まれています。
栽培の形態は、ハウスでマルチを用いる極早掘り栽培(2月植付け→6月下旬~7月上旬収穫)、マルチを用いる早掘り栽培(4月植付け→7月下旬~8月上旬収穫)、裸地の標準栽培(5月上旬植付け→9月上旬収穫)、晩期栽培(6月中旬植付け→10月中旬収穫)の4つがあり、早期、極早期の栽培が増えているようです。