Ⅲ さつまいもの需要と供給
1.需要の動向
我が国では年間に約 100万tのさつまいもが消費されていますが、その用途は大きく青果用、焼酎原料用、でん粉原料用、加工食品用の4つに分けられます。それぞれのシェアは平成18年度で、青果用が44%、焼酎用が21%、でん粉原料用が18%、加工食品用が9%、飼料用が1%となっており、近年は次のような動きを示しています。
(1)青果用
・消費者のライフサイクルの変化に伴って家庭における調理機会の減少等により、
需要量は近年減少傾向。
・18年は38万t程度となったが、これは5年前の8割程度の水準。
(2)焼酎原料用など
・焼酎原料用は、近年の焼酎ブームにより主産地である南九州以外での生産も盛んで
堅調な需要で推移しており、全体で21万t程度。
(3)でん粉原料用
・近年、焼酎用の原料需要が増大した影響により減少傾向にあったものの、
適性品種の普及や原料確保対策等の取り組みにより、18万t程度。
・さつまいもでん粉のほとんどは異性化糖原料として用いられ、
それ以外の固有用途の需要としては、春雨の原料など。
(4)加工食品用など
・国産は、干しいも(蒸切干し)に4万t、菓子に4万トンが仕向けられているものの、
需要はほぼ横ばい。
・菓子用としては伝統的な「かりんとう(芋けんぴ)」や「いもようかん」などに加え、
アイスクリーム、ケーキ等にも利用。
・飼料用については、豚の餌として利用されているが、
輸入飼料との相対的な価格差もあり減少傾向で推移し、1万t程度。
○ 我が国におけるさつまいもの需給(平成18年度)
(単位:千t)
(千t) |
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2.生産の動向
さつまいもは、本州以南で幅広く栽培されていますが、特に台風や干ばつ、そしてシラスなどの特殊土壌という南九州畑作地帯特有の厳しい環境における基幹作物として経営上重要な地位を占めているほか、高品質な青果用の産地育成を目指した取り組みが全国で展開されています。
(1)作付面積及び生産量
・作付面積は昭和50年代には6万5千ha前後で安定的に推移したが、62年産以降減少傾向。
・単収は40年代後半にはコンスタントに2tを超えるようになったものの、
生産量の半分以上が青果・加工用であるため、食味・品質の関係から反収向上はゆるやか。
・平成18年産は4万1千ha、99万t。(平年収量対比97)
(2)主産地
・鹿児島県及び宮崎県の南九州地域が作付面積で41%、生産量で48%を占めている。
特に鹿児島県の生産量は平成18年産で40.1万t(平年収量対比98)と第1位で、
41%がでん粉原料用。
・鹿児島に次いで茨城が16.0万t、千葉が13.0万t、宮崎が7.0万tと多く、
この他には静岡、徳島、熊本が 2~3万t程度の水準。
(3)生産額
・平成14年度のさつまいもの生産額は 895億円。
・農産物全体の1.0%で第20位。
○ 主要農産物の生産額とさつまいもの位置づけ
(1) 生産額(14年)
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(2) 栽培農家数(12年)
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(3) 生産量(17年産)
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資料:農水省「農業生産所得統計」、「世界農林業センサス」、「作物統計」及び「野菜生産出荷統計」
注:甘しょは「さつまいも」の別称で統計資料ではこの用語が使われている。
3.輸入の動向
昭和60年代以降、円高が急速に進行したことや不作時の原料不足、生産農家の高齢化による供給力の低下などを背景に、中国等からの干しいも、大学いも、蒸しいも、ペーストなどの冷凍調製品の輸入が増加し、平成18年の輸入量は8万t程度(生いも換算)となっています。