名古屋市北区楠支所管内の味鋺(あじま)地区は戦前から味のいい早堀りいも、「あじまいも」の産地として知られていた。同地には庄内川という天井川がある。
昔はよく氾濫し、その跡に大量の小石混じりの砂を残した。そういう所は水はけが良すぎて乾きすぎる。 そのため日照りに弱い夏作物は作れない。ところがサツマイモはむしろそういう土地を好む。それで自然にいも畑地帯になったのだという。  
その味鋺地区にも最近は住宅が増え、農地もめっきり少なくなってしまった。しかも耕作者の高齢化などで空き地も多くなっている。こうなるといけない。空き地には雑草が生い茂る。そこや耕地にゴミを勝手に捨てる人がどんどん増える。町の美観上からも衛生上からも放置しておけなくなってきた。

そこで区もいろいろ勉強し、今春から同地に「北(ホク)・北(ホク)いもの会」を発足させたのだという。 会員は地域住民有志100余人。区の肝いりで農家の畑を借り、いも作り名人の指導で特産の味鋺いもを作る。
地域の人は共同作業を通して知り合いになれるし、うまい「いも」ももらえる。こうなって初めてその土地への愛着も深まってくる。土地を大事にするムードが町に高まれば、今までゴミを所構わず捨てていた人達も自粛するようになる。いいことづくめで、早くも手応え十分という。

今日、わたしは同会に招かれ北区役所講堂で「いも文化と町おこし」という題で話しをさせてもらった。 会場には300人もの人が集まっていた。そこで長井隆弘区長さんにお目にかかることができた。同氏は「わたしは『いも区長』で通っています。これからも一層頑張ります」と張り切っておられた。