川越ほどのイモの町にも、むかしからサツマイモ料理の専門店は1軒もなかった。川越っ子の神山正久氏(1953年生まれ)は、それを残念なこととし、その種の店を一気に開いた。1982年開店の「いも膳」がそれだった。
幸い同店は着実に発展、1989年にはその敷地内に「サツマイモ資料館」を新築、無料公開するまでになった。
わたしは縁あって今春、つまり1992年の春からここに勤めさせてもらっているが、世界に類例のない資料館だからであろう、来館者も、問い合わせも多い。とくにサツマイモシーズンの秋には、マスコミからの問い合わせ電話が朝から夜まで鳴りっ放しの日さえあった。
サツマイモの文化史の研究をライフワークとしているわたしにとって、ここは願ってもない城だが、それだけに責任も重い。そこで付けたこともない日記を、着任早々から付け始めた。そして早くも半年たったので、古い方から順次、その1部を発表させて頂くことにした。