Q 焼きいもが甘いのはなぜですか?

焼きいもが甘くなるのは、さつまいもに含まれるβーアミラーゼという消化酵素が、加熱されて糊化したでん粉に作用して麦芽糖という甘味成分を生成するためです。
この温度が概ね70℃前後ですから、この温度帯をいかに長く保持するかが、甘くておいしい焼きいもづくりのポイントになる訳です。

《補足》

でん粉を含む多糖類を加水分解する酵素を総称してアミラーゼと呼び、これにはα-アミラーゼ(動物の唾液などに含まれる)とβ-アミラーゼ(植物などに含まれる)の2種類がある。

α-アミラーゼは、でん粉を内部から不規則に切断、一方、β-アミラーゼは一方(非還元末端)から、順番に麦芽糖(マルトース)を生じる。この麦芽糖は、ブドウ糖(グルコース)が2個つながった、いわゆる2糖類の1種。(砂糖は、ブドウ糖と果糖で出来た2糖類)

β-アミラーゼは生のでん粉を分解することが出来ず、糊化したでん粉(葛湯のような状態)から麦芽糖を生成するので、調理過程での麦芽糖の生成は、そのいもに含まれるでん粉の糊化温度以上で、かつβ-アミラーゼが完全に熱失活する温度以下の温度で進む。

でん粉の糊化開始温度は概ね65~75℃位であり、一方、甘しょのβ-アミラーゼの耐熱性は他の植物や細菌類のものと比べてあまり高くなく、失活温度も品種間で差があるが70℃前後である。

このβーアミラーゼが植物としてのさつまいもの生育や生存にどんな役割を果たしているのかは、まだよくわかっていない。