Q 紫色の果肉のさつまいもがあるのですか?どこで入手できますか?
現在、日本には40以上のさつまいも品種が栽培されていますが、中には変わり種がいくつかあります。たとえば、みかけは普通でも切ってみると中はきれいな紫色という品種があります。これは、アントシアニン色素を含んでいるためです。
紫さつまいもは比較的肉色は薄いものの甘くておいしい食用向きの品種と、肉色が濃くて甘みが少なく食味が劣る加工用品種とに大きく分けられます。種子島の在来品種である「種子島紫」は甘みが強く、蒸すとホクホクしてとても美味しいので青果用として好評です。また、沖縄の紅いも「宮農36号」や「備瀬」も食味がよい品種です。平成14年に発表された青果用の紫いも「パープルスイートロード」の食味は「高系14号」並であり、収量は「種子島紫」の1.5~2.5倍に改良されており、今後の普及が期待されています。
一方、在来種の「山川紫」は、糖分が少なく食味は良くないため青果用としては不向きですが、肉色が鮮やかな紫色なので食用色素、ペースト、フレークに加工され、アイスクリームやいも飴などに利用されていました。平成7年には「山川紫」の色素含量や収量性を高めた世界初の色素専用品種「アヤムラサキ」が九州農業試験場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター)と色素メーカー最大手の三栄源エフ・エフ・アイ㈱の共同研究で育成されました。現在ではこの「アヤムラサキ」が色素、ペースト、パウダーやジュースなど幅広い用途に使われています。
さらにペースト・パウダーなど加工用に適する「ムラサキマサリ」が平成13年に登場しており、平成17年には病害虫に強く、最もアントシアニン含量が高い「アケムラサキ」が育成されました。これらの品種は、色素のほか、焼酎用やペーストなどの加工原料に利用されています。これらの品種は、一般には市販されていないのですが、鹿児島にあるさつまいもの情報発信基地である「さつまいもの館」では、アヤムラサキや種子島紫の注文を受けつけています。(季節によっては対応できない場合もあります)