Q いも飴の作り方を教えてください。

いも飴というのは、はるか以前、第2次世界大戦で物資統制が行われていた頃、ヤミ市で売られていたそうですが、今でも鹿児島県で製造され、「さつまいもの館」というところで「からいも飴」という名前で、硬いものと柔らかいものの2種類が売られています。
いも飴づくりの作業の基本は、雑菌の繁殖しない寒い時期に、まず蒸したイモに水を加えて潰し、ドロドロの状態にします。次に、これに麦芽を加えて濾し、できたものを放置して固めるというものです。

古い本ですが「芋類加工の理論と實際」(昭和22年 尾崎準一編)では以下のように説明されています。

● 生いもを原料とした麦芽飴
洗った生いもを1~2分くらいの厚さに切り、 0.5%くらいの炭酸ソーダ液に一夜浸漬してアクをぬく。酸を用いる場合には、PH4.5くらいの塩酸液に浸漬してもよい。
アク抜きしたいもは、水でよく洗ってアルカリや酸を落とした後、蒸籠あるいは瓶に入れて甘い蒸気の出るまで1時間以上、よく蒸す。
これを飴状にすり潰した後、所要の温湯を加えて「かゆ状」とし、70~60℃に冷えたときに乾燥麦芽を加えてよく攪拌し60℃内外に保温しておく。
糖化は6~7時間、手の中に仕込みの液を強く握ってみて、甘藷の繊維だけ残るようにようになれば糖化したものとみてよい。
糖化が完了したら米飴同様、まず、笊(ざる)でこし、更に布袋でこして煮詰める。
火加減は初め強く後は弱く、こげつかないようにする。いも飴はネットリしているので米飴のように簡単に濾過できないため、少量づつ丁寧に濾過する。
いも飴の収量は生いも1kgから水飴が230~330g程度である。
 
● 麦芽を使わないいも飴
生いもと同量の水を80℃に温め、生いもを卸金で擦りこむ。この際、温度を60~80℃に保ち、すりおろしたものがすぐ半糊化程度になるようにする。
すりおろした芋はすぐ湯に入れないと着色するので注意を要する。
いもを全部おろし込み、80℃以上にならないように注意しながら十分に糊化させ、粥の固さくらいにする。
次に60~80℃の恒温槽に数時間入れて糖化させ、その後一度煮沸して布袋でこし、その濾液を煮詰めて上に浮遊してくる汚物を2~3回すくい取り、濃縮すればきれいな飴ができる。