Q じゃがいもにはソラニンという有毒成分があると聞きましたが食べても大丈夫ですか?
じゃがいもは、収穫後に光を浴びると、ソラニンやチャコニンなどのいわゆるグリコアルカロイド(GA)と呼ばれる物質が皮の周辺に蓄積し、これがエグ味の原因となります。たとえば、メークインはGA含量が高い品種として知られています。
GAは表皮が緑色に変色した部分や芽の基部に多いので、このようなじゃがいもは、皮や芽を剥く必要があります。以下は「調理科学講座4 植物性食品II」よりの抜粋です。
小さい芽においてもグリコアルカロイドの呈色反応は顕著で、高濃度に局在していることがわかる。コルク組織の直下においても周皮の位置に呈色反応があり、濃度が高いことがわかる。成熟したイモでは、芽と皮を除いた通常の食用部分には呈色反応が認められないが、ごく未熟な小いもでは、皮層や髄の部分にも顕著に観察される。芽の枯れた休眠中のイモでも皮部には明らかに呈色がみられる。萌芽期に入ると芽と皮部に顕著に検出されるが、芽自身と皮を0.5mm程度の厚さに除去すれば高濃度の部分は除かれる。
中毒の症状は、腹痛や胃腸障害、虚脱、目まい、眠気、下痢などが現れるそうです。我が国でも、平成12年7月に神奈川県藤沢市の小学校で栽培したジャガイモで食中毒を起こした例があります。しかし、GAを多く含んでいるじゃがいもは、通常、エグ味が強く、口に入れるとすぐ判りますので、必要以上に神経質になることはないでしょう。普通に皮をむきさえすれば大丈夫ということです。
いずれにしても美味しく食べるには、じゃがいもに光を当てないことが大切です。熱心な産地では畑で遮光シートを使ったり、段ボールの手穴を無くしたりしていますし、小売り店ではビニールから紙袋に代えるなどの工夫を始めています。消費者にも保存には光を当てない工夫をしていただきたいと思います。
GAの蓄積していないじゃがいもは、ヨーロッパのように皮付きで、茹でずに蒸して食べられます。GAは水溶性なので、茹でると溶け出してエグ味が消えますが、そのかわりに旨味も逃げてしまいます。