ムラサキマサリ(農林54号)


(1)来歴
 高アントシアニンの「アヤムラサキ」と多収、高でん粉の「シロユタカ」の組合せにより、独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成13年に命名登録された。

(2)形態的特性
 いもの形状は「紡錘形」、外観は「上」で、「アヤムラサキ」に比べ優れ、収穫し易く、加工適性も優れる。

(3)生態的特性
 いもの肉色は「紫」であり、塊根中のアントシアニン含量は「アヤムラサキ」と同程度である。いもをそのまま圃場に植え付ける直播栽培では、親いも肥大はわずかで、蔓根いもを主とした小いもが着生し、直播栽培に適する。上いも重は、育成地の標準無マルチ栽培、長期透明マルチ栽培で「アヤムラサキ」よりそれぞれ7%、23%高い。切干歩合(乾物率)は、「アヤムラサキ」より2〜4ポイント高い。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ、ミナミネグサレセンチュウに「強」、黒斑病に「やや強」である。貯蔵性は、「アヤムラサキ」並の「やや易」である。

(5)栽培上の注意 

(6)用途
 加工食品用。高アントシアニンで、ペースト、パウダーなどの加工用に適する。ペースト、パウダーの色調が「アヤムラサキ」と異なる。ペーストは「アヤムラサキ」に比べやや赤みが強く、パウダーは「アヤムラサキ」に比べ、ややくすんだ色調となる。