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(1)来歴及び特徴
「べにはるか」(農林64号)は、いもの外観が優れる「九州121号」を母、いもの皮色や食味が優れる「春こがね」を父とする交配組合せにより(独)九州沖縄農業研究センターで育成された。名前の由来は、食味やいもの外観が既存品種よりも「はるか」に優れることによる。
全国的に栽培されている「高系14号」より、いもの皮色、形状や大きさのそろいが優れ、センチュウや立枯病にも強い。収量性は「高系14号」並であるが、いもの外観が良好なため、A品収量が高い。鹿児島県の食用の奨励品種として普及に移されており、大分県、千葉県や茨城県でも栽培されている。
注: |
食用サツマイモの主力品種「高系14 号」およびその派生系統(「なると金時」「土佐紅」「ベニサツマ」「ことぶき」など)は早期肥大性に優れ、安定した収量性を示しますが、サツマイモネコブセンチュウや立枯病に弱く、栽培条件によってはいもの形状の乱れや丸いもの発生などが見られます。また、特に早掘から普通掘にかけて蒸しいもなどの甘味が少ないため、糖度が高くておいしい品種を望む声が市場や生産者等から寄せられていました。 |
(2)形態的特性
しょ梗の長さは「中」、いもの形状は「紡錘形」で大きさは「中」、大小整否は「中」で外観は「やや上」である。条溝は「微」で裂開や皮脈はない。いもの皮色は「赤紫」で肉色は「黄白」である。
(3)生態的特性
萌芽性は「中」、育成地における上いも重は標準栽培、早掘り栽培ともに「高系14号」を上回り、切干歩合は「高系14号」より高い。
(4)病害虫抵抗性
サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」、ミナミネグサレセンチュウ抵抗性は「やや強」、黒斑病抵抗性は「中〜やや弱」である。貯蔵性は「やや易」である。
(5)品質特性及び加工適性
標準栽培において、蒸しいもの肉色は「黄白」、肉質は「やや粉」、蒸しいもの繊維は「中」、黒変度は「中」である。食味は「上」で「高系14号」より優れる。
(6)栽培上の注意